ラビリンスワールド 第5章 (その1)  L501

第五章:転換点

 ユウカの指定する場所に行き、ユウカの指示に従って仕事をし、給料をもらうという生活を数年続けたある日の昼にカフェの窓側の席で外を見ながら休憩していた。

しかし、ユウカの奴は相変わらず人使いが荒いな、これだけの給料じゃ割に合わないな、などといつものように考えていた。そこに、最近ユウカのところに来たナナとミサキが大きな声でしゃべりながらカフェの前を通り過ぎていった。

ナナ「なにあの、ショウってひと。暗いんですけど」

ミサキ「そうそう。暗くて気持ち悪い。それに臭いし」

ナナ「わかる~。特に汗かいているときなんて超臭いんですけど。鼻もげる」

あいつらそんなことを思いながら仕事をしていたのか。怒りが込み上げてきた。あいつらに文句を言ってもことが大きくなるだけなのでここは我慢することにした。仕事に戻って、作業を続けていたが今までなんともなく普通に接していた人も俺を避けるようになっており、裏でヒソヒソ話をしていて俺が近くに来るとすぐにヒソヒソ話をやめて俺から離れていくことが何回もあった。

くそー。あんなやつらと一緒にやってられるか。ゴールドはある程度溜まっていた。レベルを確認したらレベル17になっていた。よし、レベル18まであともう少しだ。もう、いやな思いをしてユウカのところに居る必要はない。このゴールドを元手に一人で稼げる方法はないか考えた。ギャンブルはゴールドがなくなる可能性が高いし、いい防具や武器を買って格闘技場で稼ぐか。などと考えてる日が増えていった。よく考えた結果、ユウカみたいにステンレスをブランド品の部品にまで加工する技術は持っていなかったが、金属のインゴットの製造なら何とかやっていけると思った。

「インゴットにすれば鉱石よりは高く売れるので鉱石を拾って、拾った鉱石でインゴットを作って売るとしよう」

あまり面白い仕事ではないがユウカのところで働くよりはましだと思った。翌日、ユウカにユウカのところで働くのはやめることを伝えた。