地球連邦国大統領(新経済システム6)P406

【シェアのすすめ】

 しかし、どうしてもゼロにできないものも多くあります。ゼロにできないものをどうやって削減していくかを考えなければなりません。これについてのよいヒントが航空機にあります。今は新型コロナウイルスの影響で飛行機に乗る機会は減っていると思いますが、空港で飛行機を乗る際に搭乗口で飛行機の出入りを見ていたことはないでしょうか。飛行機の出入りを見ていると空港に到着した飛行機は乗客を降ろした後、すぐに機内清掃、燃料補給、安全点検などを行い次のフライトの準備で大忙しです。次のフライトの準備ができればすぐに乗客をのせて離陸していってしまいます。航空機が休んでいる時間はほとんどありません。航空機ほど高価なものは稼働率を上げないと経営ができません。いかに効率的に航空機を使用するかにかかっています。この考え方を我々個人が使用する機器にも取り入れられれば生産量の削減に貢献できるのではないでしょうか。例えば車ですが、通勤に使わないのであれば、使用するのは休日の週2日間だけという人も多いのではないでしょうか。そういう場合には仕事の日には車は使っていません。平日は妻が買い物に使用しているという人もいるでしょうがそれでも航空機に比べて稼働率はかなり低いのではないでしょうか。車の稼働率を上げれば生産量削減につながるはずです。かといって必要ないのに車でドライブするということではありません。個人で1台所有するのではなく、1台の車を複数人でシェアすればよいのではないでしょうか。世の中にはレンタカー、カーシェアリング、外国ではウーバー・テクノロジーズが運営する配車アプリがあり、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築しています。このような仕組みを活用すれば車の稼働率は上がっていくのではないでしょうか。これは、車に限らず使用頻度の低い家電製品、例えば掃除機など、にも応用できるのではないでしょうか。このシェアの考えは自動車や家電にのみ使えるのではありません。例えば食事についても同じ考えができます。すでに欧米では料理をふるまいたい人と食べたい人をつなぐ、ソーシャルダイニングやその発展型の手作りの料理を自宅に持ち帰って楽しめるソーシャルテイクアウトなども広がりを見せているようです。このような変化を少しずつでも起こしていくことが環境問題に対し役に立つ取り組みだと考えます。

 現代の経済では大量消費に支えられているので、壊れない製品は都合が悪いのです。ある程度の時間がたてば壊れてくれないと買い替えがおこらないので経済が回りません。この仕組みはやはりおかしくないでしょうか。環境問題を真剣に考えるのであれば壊れないものを作り長期間使い続けることが重要であると考えます。たとえ壊れても壊れた部品さえ交換すればまた使えるようにするべきです。「この製品は製造中止になったので修理はできません」という仕組みを変える必要があります。日本人はなかなか壊れない商品を創るのは得意ではないでしょうか。大量消費で経済が動いている仕組みから脱却し、今より大幅に小さい経済でもやっていける仕組みを作るべきだと考えますがいかがでしょうか。