ラビリンスワールド 第2章 (その1)  L201

第二章:生活の始まり

 朝になり目が覚めた。ダイキとの待ち合わせの時間にはまだ時間があったので、周辺をうろうろすることにした。花屋の前を通っていると前方に人が長い列を作っているのが見えた。何に並んでいるのだろうと思って列の前の方まで進んでみると、列の先頭は服屋から続いていることが分かった。服屋の入口には『本日限定ブランドジャケット販売』と張り紙があった。限定のブランド品が欲しくて並んでいるということなのか。ちょうど入口近くに差し掛かった時に、開店時間となったようで列に並んでいる人がすごい勢いて店内になだれ込んだ。

「じゃまだどけ」と道の方に押し出された。

怒号と女性の悲鳴が響き渡り、店員の静止する声もあいまってすごい音量で周囲に響き渡っていた。人の列が店の中に入り少しは静かになったが店の中からは人々が言い争う声が依然聞こえていた。そこまでしてほしいものなのかと思った。

 待ち合わせ時間が近くなってきたので、格闘技場に向かうことにした。格闘技場の近くで見知らぬ人から対戦をしつこく申し込まれたが、今から別の人と対戦する予定だと言って振り切った。待ち合わせ時刻より少し早めについたが、ダイキはすでに来ていた。

「本当に来てくれたか。ありがとよ」

「昨日はかなりのダメージを受けて、回復するのに時間がかかったので起きたのはついさっきだ」とダイキは言った。

「結構回復するのに時間がかかったな」とダイキは言った。

「ダメージが大きければ、回復に時間がかかるんだ。ショウはまだライフが少ないからゼロになっても回復にはあまり時間がかからないよ」とダイキはつづけた。

「そうなのか」

「よし。早速始めるか。格闘のやり方を説明するぞ。まずは受付に行ってエントリーするんだ。身分証明のためにスマホが必要だぞ」

エントリーするために受付に向かった。

「格闘をご希望ですか」と受付が聞いてきた。

「はい」とダイキは答えた。

「対戦相手はお決まりですか。お決まりでない場合はエントリーされているかたから、レベルの近い相手を紹介いたしますが」とダイキに聞いてきたので

「対戦相手は決まっています。ここにいるショウです」と答えた。

「承知いたしました。それではダイキ様、ショウ様の身分証明書をご提示ください」

二人はスマホの身分証明書を受付に提示した。受付は機械で読み取って格闘のエントリー作業を行っていた。

「受付が完了いたしました。17番リングでお願いいたします。」

「ありがとう」とダイキは答えた

「17番リングだって、いくぞ」

そういってダイキは歩き出した。俺はダイキの後をついていった。

「ここだ」

17番と書いてあり白い枠で地面に描かれた場所を指さして言った。

「え、ここ? ただの白い枠がかいてあるだけじゃないか」と俺は言った。

「いいから、早く準備をしろ」

「準備?」俺は何を準備していいかわからなかった。

「武器を持ったり、装備を装着したりするんだが初めに着ていた横しまの服を着ているぐらいだから装備なんて持ってないよな。それじゃあ武器を持つだけだな。初めてだからしょうがないさ」と説明してくれた。

俺は4次元ウエストポーチから木の棒を取り出した。

ダイキ「よし。それでは始めるぞ。ルールは簡単。どちらかがノックアウトされるまで続けるんだ」

「その前に近くにいる見届け人に試合をすることを伝える必要がある。見届け人が試合結果を格闘技場の管理システムに送ってくれる。そうすると自動的にファイトマネーと経験値が振り込まれる仕組みになっている。ファイトマネーや経験値は敗者にも振り込まれるから安心しろ」

「見届け人さん、今から試合を開始します」と見届け人に向かってダイキは言った。

「よし、試合開始!」と力強く見届け人は試合開始を宣言した。

「行くぞ」とダイキが言ったので、俺も木の棒を振りかざしてダイキを殴りに行ったが、簡単に交わされダイキの剣の一突きで倒れた。

「試合終了。勝者ダイキ」と高らかに見届け人は宣言した。

あっさり負けてしまった。体がだるくて思うように動かせない。かなりダメージがあるようだ。

「しっかりしろ。そこのベンチで休むんだ」とダイキは言った。

俺はダイキに抱えられてベンチに倒れこんだ。倒れこんだところまでは覚えているが、すぐに気を失った。しばらく時間がたちダイキが話しかけてきた。

「おい、しっかりしろ」ダイキの声で、俺は目を覚ました。先ほどのダメージは嘘のようになくなっていた。

「すっかり良くなったが、やられた時のダメージは相当大きいな」と返事をした

「大きいと思うかもしれないが、ショウが休息していた時間は1時間もたってないぞ」

「そうなのか」と俺は聞き返した

「スマホ見てみろよ。ファイトマネーと経験値が入っているぞ。」と言ってくれたので、俺はスマホを確認した。ゴールドが0から10に増えていた。それと経験値のバーが少し増えていたが次のレベルにははるかに及ばなかった。

「どうだ。楽しいか」にやにやしながらダイキは聞いてきた。

「楽しいわけないだろ。こっちは一発で負けたんだぞ」

「最初から勝てる奴なんていないよ。俺なんて初戦から13連敗だったぞ。」

「強くなりたかったら、試合に出つづけることだな。試合に出てファイトマネーを稼いで、いい武器や防具を買って強くなるのが一番の近道だ」

「それじゃあ、次の試合のエントリーをしに行くぞ」

「え、もう行くのか」

「たくさん、試合をしなければならないから時間がないんだよ」となかば強引に受付に連れていかれた。受付につくとエントリーを行い、試合をしてまた秒殺された。気が付いたら、にやにやしながらダイキがのぞき込んでいた。

「よし、回復したな。もう大丈夫だろ、次行くぞ」とダイキが言ってきた。

また、受付に行ってエントリーを行い、試合をしてまたまた秒殺された。