ラビリンスワールド 第3章 (まとめ)  L307

【ラビリンスワールド 第3章 (その1)  L301】

【第三章:ラビリンスワールドでの過ごし方】

ラビリンスワールドの出口はこれまで俺の行った範囲の中にはなかったので、まだ、いっていないところにあるに違いないと考えていた。まだ、行っていないところといえば、案内所の西の出入り口から出たところだ。西の出入り口の先には庭があると言っていたかな。よし、明日は西の出入り口らか、庭を見てみることにしよう。しかし、大勢の人がこのラビリンスワールドにいるということは、そう簡単に抜け出せないのかもしれない。そういえば、レベル18以上でないと入れない区域もあったし、それに案内係の話だと格闘技場や工房の奥にも課題をクリアーしないと入れない部屋があるらしいからな。その中に出口か出口のヒントになるものがあるかもしれない。

そのためにもゴールドと経験値を上げなければならないな。しかし、ゴールドを稼ぐにはギャンブルは得策とは言えないような気がした。勝っても1.5倍かせいぜい2倍ぐらいで何回も勝ち続けなければ大きな儲けにならないし、負ければ持ち金がすべてなくなる危険性が高いと、2ゴールドしかない所持金を見て思った。ダイキの言う通り、格闘技場でこつこつ稼ぐしかないのかなと思っていた。でも、待てよ。格闘技場以外にも人はたくさんいるし、その人たちは何をしてゴールドを稼いでいるのだろう?もう少し、ラビリンスワールドを調べてからゴールドや経験値の得る方法を考えてみることにしようと考えた。まず、明日は案内所の西の出入り口から庭にでてみて、何があるか探検してみよう。案外あっさり出口が見つかるかもしれないしな。よし、そうと決まれば今日はカプセルホテルに戻って休息をとることとしよう。案内所までかえって来たところでカプセルホテルの従業員の人が通用口から掃除道具を持って出てきて俺に

「今、カプセルホテルの清掃が終了いたしましたので、只今から使用いただけます。」

と言ってきた。俺は

「いつもありがとうございます。」と返した。

ギャンブルにしろ、何にしろ体を動かすと少しずつ体力が消耗するので、今日は休息をとることにした。

【ラビリンスワールド 第3章 (その2)  L302】

次の朝、起きてコーヒーを飲みたかったがゴールドがなかったのでカプセルホテル備え付けのウォーターサーバーの水で我慢することにした。水を飲み終えて、よし、いくぞと案内所の西の出入り口から庭にでてみた。左手の壁沿いに店が並んでおり、一番手前には薬局があった。体力が回復する薬や一時的に格闘技が強くなる薬などいろいろな薬が売られていた。ゴールドがあればいろいろな薬を買って、格闘技場でゴールドを稼げるのにと思った。店の向いには大きな屋敷がたくさん立っていた。

「うわー、大きい家だな。これは個人の家なのか」とひとりごとを言っていた。

大きな家を見ながら西へ歩いて行くと、店の並びの先にガーデニングをする場所があった。この場所は細かく区画に仕切られており、それぞれの区画に名前の札が立っていた。案内係が言っていた花を栽培できる場所だということが分かった。大きな声が聞こえてきたのでそっちの方を向いてみると年配の女性と若い女性が言い争っていた。どうやら若い女性の育てた植物が大きくなりすぎて葉が年配の女性のスペースにはみ出しているのだが、数日間若い女性が放置していたので、言い争いになっているようだった。

ガーデニングエリアのさらに西には裏山となっていた。もっと奥まで進めそうだったが、勾配がきつくなり、足元が良くなかったのでこれ以上先に行くのはやめた。ガーデニングエリアの北側には住宅が広がっていたが、西の裏山近くの家は庭の出入り口近くの家と比べるとかなり小さい家がほとんどと言わざるを得なかった。住宅街を北に向かって歩くと、住宅街を抜けたところにも裏山があったが、西の裏山に比べ勾配は低く足元もよかったので北の裏山を探検してみることにした。少し山に入ってみると人だかりができていた。何をしているのかと思ってみていると、中年の男が声をかけてきた。

「お前もレアメタルを狙ってきたんだろ」

「いえ、ただ散歩しているだけです」

「うそつけ、こっちをジロジロみてたじゃないか。もう、何も残ってないぞ。残念だったな。俺は結構とれたから屋敷に戻って取引所で売ってくるぜ」

「来るのが遅いんだよ。こまめにSNSをチェックしてないと、お宝はゲットできないぜ」

と言って、足早に去っていった。さらに奥に進もうとしたところ、

「あったー」との声が聞こえたのでそっちの方を向いてみると、若い女性と年配の男性が一部銀色に光る石の取り合いでもみ合っていた。なかば強引に若い女性が年配の男性から石を奪い取っていた。争奪戦に負けた年配の男性は倒れたまま、起き上がれずにいたが周りの人たちは誰も見向きもしなかった。あまりにも起き上がれずにいたので手を貸してあげることにした。

「助けてくれるなんて珍しいな。新人か。お礼にいいことを教えてやる。他人に甘さを見せていると、蹴落とされるぞ。ここは弱肉強食の世界だからな」と言って足をひきずりながら屋敷の方にあるいていった。弱肉強食の世界か。確かにここの生活は弱肉強食という言葉が合っているなと、妙に納得した。

更に奥にすすむと木が鬱蒼と茂っており、ゴロゴロとした大きめの石や岩が多くなってきた。とても歩きにくくなってきたのでそろそろ引き返そうかと思い、足元に目をやると腐葉土に覆われた石が目に留まった。なんか気になって腐葉土を払いのけてよく見てみると先ほど、群がって人々が探していた一部が銀色をした大きめの石だった。ラッキーこれを取引所でゴールドに替えてみようと考えた。早速、屋敷に帰って取引所でこの石を売ったところ、皆が探していた石の種類ではないようだが、大きさも大きかったことから3000ゴールドの値が付いた。「よし」思わず声が出た。このお金で何をしようか。そうだ、武器を買って格闘技場で勝負をして儲けようと考えた。武器屋に行って2700ゴールドの武器を購入して格闘技場に向かった。

【ラビリンスワールド 第3章 (その3)  L303】

格闘技場に到着し弱そうな相手を探していると、ダイキが試合をしようと声をかけてきた。俺は高い武器を買ったので、ダイキには勝てると思ったので試合の申し出を受けた。

「ありがとよ。お前に勝った後にほとんど勝ってなかったんだよ。ようやく勝てる」

「それはどうかな。この前の俺とは少し違うぜ」と俺は答えた。

「木の棒は卒業したのか。少しはやりそうだな。手加減しないからな」

ダイキの1発目をよけて新しい武器を振り下ろしたところたまたまダイキに当たった。ダイキはそのまま倒れこんだ。

「ショウの勝ち」見届け人の声が心地よかった。

「やっと、1勝できた」

ダイキはその場で倒れていたので、ベンチまで運んでやった。しばらくしてダイキが気づいた。

「油断したな。もう一回勝負だ」とダイキは再試合を申し出てきた。

「望むところだ、前回は散々な目にあっているからな。お返しさせてもらうぜ」

試合開始の合図がかかるかかからないかの間にショウは一撃をダイキにくらわせた。ダイキは再び倒れた。ダイキはしばらくベンチで起き上がれずにいた。ようやく気が付いた。

「やたら強くなってるじゃないか。その武器100や200ゴールドの武器じゃないな。どうやって手に入れたんだ。ギャンブルに勝ったのか」

「そんなこと、お前に言うわけないじゃないか。もう1試合するぞ」と俺はもう1試合誘った。

「少し待ってくれ、まだ、頭がふらふらするからそこらへんを一回りしてくる」そう言い残して格闘技場を出て行った。

しばらくするとダイキが戻ってきたので、試合を始めることにした。俺はさっきの試合同様、試合開始の合図が終わらないうちに1発で仕留めるつもりだったが、ダイキは予想していたのかさっとかわして、反撃してきた。俺は予想していなかったのでダイキの攻撃をかわすのがやっとだった。狙いを定めて再び武器を振り下ろしたが、またもやよけられてしまった。ダイキの反撃が何回か俺の体をかすめた。俺はフラフラになってきた。最後の力を振り絞って武器を振り回したらたまたま、ダイキに当たりダイキは再び倒れた。何とか勝ったが、ショウもダメージが大きかったのでベンチで休むことにした。

目が覚めると、ダイキはもう一勝負するかと聞いてきた。この前の倍返しするまでやろうと思っていたので、快諾した。前の試合はぎりぎりだったので俺は作戦を考えていた。ダイキは俺の攻撃をよく見てかわしてくるので、攻撃の際にフェイントをかければ攻撃が当たると考えていた。攻撃が1回でも当たればこの高い武器の威力は強いので倒せると確信していた。

試合が始まり、2,3回攻撃をかわされたあとに、考えていたフェイントを使ってみた。しかしそのフェイントをかわされ、俺が驚いているすきに痛恨の一撃を食らってその場に倒れた。

【ラビリンスワールド 第3章 (その4)  L304】

しばらくして目を覚ますと、ダイキがもう1試合しようと言ってきたが、俺は勝つ自信を失っていたので断った。ダイキはしつこく試合を申し込んできたが、俺は逃げるように格闘技場を出た。カフェに行って敗因を考えることにした。カフェの窓際の席につき外を眺めながらコーヒーを飲んで敗因について考えていた。

「この武器なら、ダイキに当たれば1発で倒せるのだか、なかなか当たらないな。どうすればよいのだろうか」と考えていた。こちらの攻撃が当たるまで、防御で持ちこたえる必要があるなと考えていると、ふと窓ガラスに映った自分の姿が目に入った。その姿をみて気が付いた。

「俺、横しまの服を着ている」もっといい防具が必要だと気が付いた。しかし、手元には310ゴールドしかなかった。310ゴールドでも防具が買えないことはないが、ダイキの攻撃を受けてもダメージをあまり受けない防具がいいと考えて3,000ゴールドはする防具がいるなと考えた。

「ゴールドが足りないな。どこかでゴールド稼がないといけないな」とひとりごとをいっていた。手っ取り早くゴールドを稼ぐには北の裏山に行って価値のある石を探すのが一番だなと思った。

「そうとわかれば、善は急げだ」

早速、北の裏山に向かった。

「確か、この辺だったと思う」

探しても、探しても前回見つけたような一部が銀色をした石は見つけられなかった。

「おかしいな。場所が違うのかな」

似たような風景だからもしかしたら場所が違うかもしれないが、確かめるすべはなかった。この前拾った石はあきらめて別の石を探すことにした。捜索範囲を広げて探してみたところ、小さい石だがよく見ると青く輝くところがある石を見つけた。おそらく、この石も価値があるに違いないと思った。あたりを少し探すと比較的簡単に見つけることができた。周辺を探したところ1時間ぐらいで10個見つけることができた。

「探せばまだありそうだが、価値のない石だったら集めても無駄になるから、価値がある石かどうか取引所にもっていってゴールドに替えてみよう」

価値があったらまた来ることになるので、木の幹に武器で印をつけておくことにした。

「これでよしと」

拾った10個の石を持って取引所に向かった。取引所について石を売ったところ、大きさにもよるが、1つ約200ゴールドだったので、10個で2,000ゴールドだった。

「期待したほど高くは売れなかったが、こんなものか」

価値がある石だということが分かった。今日は疲れたから、明日ありったけ拾いにいくことにしようと考えた。とりあえず今日はカプセルホテルに戻って休息することにした。

翌朝、早速裏山に向かった。目印をつけていたのですぐに目的の場所を探すことができた。

「目印をつけておいてよかった。たくさん探すぞー」

しかし、あたりを探し始めがなかなか見つけることができなかった。1時間探しても見つけられず、2時間探しても見つからなかった。

「昨日、全部拾ったのかな」

いや、そんなことはないはずとさらに範囲を広げて探してみた。合計3時間探したが、見つかったのは1つだけだった。

「昨日、まだ、たくさん残っていたはずだが」

あきらめきれなかったのでその辺に落ちているきれいそうな石も持って、取引所に行ってみたが、200ゴールドにしかならなかった。所持金は合計で2,800ゴールドしかなく欲しかった3,000ゴールドの防具は買えなかったので、2,000ゴールドの防具とついでに100ゴールドのヘルメットも買った。ズボンを持っていなかったので、服屋に行って、100ゴールドのズボンを買った。早速、買った防具、ズボン、ヘルメットを装着し、横縞の服を卒業した。

【ラビリンスワールド 第3章 (その5)  L305】

格闘技場に行き、弱そうな対戦相手を探していたところまたダイキと遭遇した。ダイキは「また、格闘技場に戻ってきたのか。昨日は尻尾をまいて逃げたしたくせに」と言ってきたので、

「今日の俺は昨日の俺と違うぜ」

「そういえば、横しまの服じゃないな。そういうことか。じゃあ、勝負しようぜ」

「いいぞ。その勝負、受けてやるよ。ちょうど対戦相手を探していたところだ」

新しい防具がちゃんと装着されているか確認し、勝負を始めることとした。

「行くぞ!」とダイキは叫んだ。

「かかってこい」

試合が始まった。始まったとたんにダイキが攻撃を仕掛けてきた。少し油断していたので、よけたがよけきれず攻撃を受けてしまったが、さすがに昨日と比べてよい防具を装着していたので、昨日までなら気を失っていたかもしれなかったが、今日はまだ戦えた。すぐさま、ダイキは攻撃を仕掛けてきたが、今回はうまくかわし、すかさず一撃をダイキにくらわすことができた。ダイキはふらついて倒れそうになったのでとどめを刺さなければとおもい、ダイキに駆け寄った。その時、倒れかかったダイキが突然振り向きざまの一突きが俺に命中して、俺は気を失った。目が覚めたらダイキが横から、

「防具は変わったが、たいしたことないな」と言ってきた。こんなはずではないと思い、

「さっきは油断したからだ、次こそ倒してやる」と俺はダイキに言い返した。

「望むところだ」

今度は、油断しないぞ。相手の出方を見て、相手の攻撃をかわしつつ反撃する方法で行こうと思った。試合が始まり、ダイキの攻撃をかわしつつ反撃のタイミングを見計らった。すきを見て渾身の一撃をくらわせたが、ダイキは気絶していなかった。この高い武器の攻撃をまともに食らったら大丈夫なはずないのだが。さらに試合は続きダイキの攻撃も何回か受けたが会心の一撃ではなかったので持ちこたえていた。こちらの攻撃も何回かあてたがダイキはまだ立っていた。だいぶ疲れていたので、よけたと思った一撃がよけきれず軽く当たっただけだったが、これまでのダメージが溜まっていたのか俺はまた気を失ってしまった。

目が覚めた時、ダイキに聞いてみた。

「昨日よりだいぶ強くなっているじゃないか」

「昨日のお前もその前よりだいぶ強くなっていたからな。なんで強くなったか不思議だったんだよ。だからな、昨日、後をつけさせてもらったぜ。そしたら、北の裏山に向かっていたので何があるんだろうと遠くから眺めていたら何やら石を拾っていたのが分かった。お前がいなくなった後にそこに行ってみると、青い小さな輝きのある石を見つけたんだよ。ショウはこの石を探していたに違いないと思たんだ。それで、一晩かけて、ありったけの石を集めて、売ってゴールドにして、武器と防具を新しいものに替えたのさ。」

「卑怯だぞ。コソコソ人の後をつけるなんて」

「何言ってるんだ。この世は弱肉強食の世界だぞ。そんなこと言ってるから勝てないんだよ」

ショックを受けた。どおりで、今朝、石を探しても見つからなかったわけだ。もう1試合しようと誘われたが、ダイキと勝負する気はないと断った。

その後、勝てそうな相手を探して格闘技場をうろうろし、横しまの服を着た奴を見つけて無理やり何試合かさせ、勝ってファイトマネーを手にした。格闘技場から帰る際に、試合でやっつけた横しまの服を着ている人がベンチでうなだれているのを目にした。試合には勝ったが、あまり良い気分ではなかった。ダイキと戦ったあとは俺があの人のようになっていたことを思い出していた。勝っても負けても、心から喜べないなと感じたが、そんなことを思っていたらいつまでたっても弱いままだと気持ちを入れ替えることにした。

しかし、明らかに弱そうな相手には勝つことができたが、少しでも格闘技場で経験を積んだ人にはなかなか勝てなかった。負けてもファイトマネーは入るので、辛抱して格闘技場で戦い続けたが、ほとんどが負けで勝つことはまれだった。

「格闘技は向いてないんじゃないか」とひとりごとを無意識のうちにつぶやいていた。

格闘技以外で何かゴールドや経験値を稼ぐ方法はないものか。武器や防具をつくれば、ゴールドは稼げる。経験値も入ってくるのではないかと考えていた。明日は工房に行ってみようと思った。いろいろ考えて疲れてきたので、カプセルホテルに戻って休息することにした。カプセルホテルの入口の横に案内所があるので、案内所の人に工房で経験値は稼げるのか聞いてみたところ、稼げるとのことだったので、これは一石二鳥だなと思った。ついでに案内所の人に工房での稼ぎ方を聞いてみた。案内所の人によると、まず、工房でゴールドを払ってレシピを入手し、そのレシピに記載の素材を拾うか取引所など購入して入手する。素材がそろったら工房の場所と道具を無料で借りて作製するという流れのようだ。作るための場所や道具は工房にしかないので、工房以外のところで作ることはできない。素材を探すのはあまり好きじゃないが、こっちの方が俺には向いているかもしれないと思った。しかし、手先はあまり器用でないからうまく作れるか不安があった。

【ラビリンスワールド 第3章 (その6)  L306】

次の朝カプセルホテルのベッドから起き上がって、今日は工房へ行くぞとはりきっていたいた。早速、武器防具工房へ向かうことにした。武器防具工房に到着して、まずは案内所で教えられた通りにレシピを購入することにした。手始めに簡単そうな「石の剣」を作ってみようとおもい、石の剣のレシピを購入した。石の剣を作るための素材は石と木の枝であった。早速、裏山で石と木の枝を拾ってきた。石と木の枝なら簡単に手に入るものだなと思った。レシピに記載されている通りに工房の場所と道具を借りて作ってみた。レシピに記載されているようにやってはみたが、見事に失敗した。材料がなくなったので、再び裏山に材料を探しに向かった。今度は失敗してもいいように石と木の枝を3つずつ集めて工房に戻ってきた。2回失敗したが、3回目にはようやく完成度が80%の石の剣が出来上がった。取引所の中にはバザーというシステムがあって世界中のラビリンスワールドとつながっており取引が可能であった。良い物ができたら取引所で売るよりバザーに出店した方が高く売れる場合があるとのことだった。早速、取引所に行って石の剣を武器屋で売っている価格と同じ100ゴールドでバザーに出品したが全く買い手がつかなかった。不思議に思い、同じように武器を作って出品している人になんで売れないのかきいてみたところ、

「完成度が低いのに武器屋と同じ値段で売っても売れるわけないだろ。同じ値段だったら武器屋で買うだろ」といわれた。

言われててみると納得した。価格を80ゴールドにして売ったところ、すぐに売れた。そういう仕組みになっているのかと思った。もっと儲かる武器を作ろうと思い、「銀の剣」のレシピを買った。素材には銀鉱石、石、樫の枝と書いてあった。銀鉱石かどんな石かよくわからなかった。銀鉱石というぐらいだから石の中に銀色の部分があるのだろう。石はそこらへんに落ちている石でいいのかな。それならなんの苦労もなくタダ同然手に入るな。樫の枝ってなんだ。普通の枝との違いがよくわからないな。高い武器なんだからきっと固い枝のことだろうと思った。ここで、悩んでいても進まないので、とりあえず裏山に行ってみることにした。

2時間ぐらいかけて部分的に銀色に光る石5個と固そうな木の枝10本を取引所に持っていって売ってみることにした。しかし、目的の銀鉱石と樫の枝はなかったが2,000ゴールドぐらいにはなり、思ったよりも儲かった。

「これだけ探して、1つも見つからないのかよ。」とひとりごとを言っていた。どんなものかもわからずに探していても効率が悪いと思い、スマホで銀鉱石と樫の枝を検索してみた。銀鉱石は思っていたのとは異なり黒い部分が多く、知らないと銀鉱石ということは分からなかった。樫の枝の見た目は普通の枝とあまり変わりはなかった。これは、探しても見つけられる可能性が低いな。探すことはあきらめて、売っているものを買うことにした。取引所で扱っている価格とバザーにでている価格を比較して、バザーの方が安かったのでバザーで買うことにした。銀鉱石、ただの石、樫の枝で合計2,400ゴールドであった。レシピ通りに作ったところ完成度80%の「銀の剣」が完成した。取引所で売っている「銀の剣」の価格を調べてみると5,000ゴールドで売っていたので80%の4,000ゴールドでバザーに出品した。バザーで「銀の剣」が売れるまで、息抜きにカフェに行くことにした。