地球連邦国大統領(対策の予想効果8)P308

児童虐待について

 この犯罪は近年顕著に増加していることが特徴です。2021年7月10日現在、厚生労働省のHP(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/02.html)では、児童虐待の原因は「身体的、精神的、社会的、経済的とうの要因が複雑に絡み合って起こると考えられている。」と記載されています。「根強い母親役割の強要や経済不況等の世相の影響、あるいは少子化、核家族化の影響からくる未経験や未熟さ、さらに世代間伝承等その背景は多岐にわたる。」と加えています。これらのことは、なぜ起こるのでしょう。人口が都市に流入し都市型の生活様式が増えてきたことが原因の1つにあるのではないでしょうか。最近はこの傾向が特に顕著になり東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市に人口が集中してきています。そうすると、都市では周りに知り合いはおらず、親は遠くの田舎におり、仕事もある中、育児は自分たちで行わなければなりません。都会では近所の付き合いは希薄でマンションでは隣にだれが住んでいるのか知らない方も多いのではないでしょうか。このような状態が育児で悩んだ際に相談する人がいない方が多いのではないかと推測します。2人目となるとさらに悩みは増えていきます。このような、どうしようもない状況に追い込まれたときに児童虐待に陥ってしまう場合もあるでしょう。また、自分の考える理想どおりに育てなければならないと強く思い、思い通りにいかないと虐待してしまうこともあるかもしれません。その他にも、十代で子供を授かり、まだ、保護者が子育てできるほど成長していないケースもあるでしょう。現代社会特有の大きな問題だと考えます。

 この問題の解決策としては、子育てに苦戦している保護者に代わり、子育ての支援または代替して子育てを行うシステムが必要ではないでしょうか。今よりはるかに多くの子供たちを収容できるシステムの構築が必要になると考えます。育児にいき詰まったり、育児が困難だと感じたらすぐに救いの手を差しのべられ、育児に疲れた保護者から子供を預かり収容できる施設です。現在の児童相談所は全国に210カ所しかなく、2018年4月1日現在の児童福祉司の数は3252人です。一方、虐待の相談は12万件をこえるそうです。これだけの数ではすべてに対応すること難しいでしょう。この相談件数は児童虐待近くにまで事態が悪化してしまったケースについてです。児童虐待にまで発展しなくても、一人で悩みを抱えて途方に暮れている保護者の数はこの何倍、何十倍にもなるのではないでしょうか。一人で悩みを抱えている状態のときに救いの手を差しのべられるシステムが必要だと考えます。保育福祉司になるには大学で勉強して福祉施設で1年以上の経験を積むなど資格を得るのに時間がかかります。児童虐待まで進んでしまったケースには児童福祉司ぐらいの知識と経験が必要となりますが、一人で悩みを抱えている人には経験者のアドバイスや、場合によっては子供を一時的に引き取って育てるような早い段階でのケアができるシステムが必要ではないでしょうか。全国規模で考えると何万人もスタッフが必要になると思いますが、人材は現役をリタイアして体力に余力のある人や育児を終えて時間に余裕ができた女性を活用してはどうでしょう。子育ての経験も豊富で子育てのアドバイスもでき、施設で一時預かった子供の世話も簡単にこなせるのではないでしょうか。児童虐待まで発展するはるか前の時点で、少しでも育児に疲れたら一時的に子供を施設で預かれる仕組みを作り、児童虐待の事実がなければ、預かった子供に親はいつでも会うことができ、気持ちが落ち着けばいつでも引き取ることも可能なシステムにすれば安心でしょう。しかし、大都市に若い世代が集中しているため、このような施設を建てる場所や働く人の確保も大都市では難しくなることが問題となるでしょう。最近の新型コロナウイルス感染症の対策として、リモートワークなどの活用が進み地方に人が分散されれば、児童虐待の問題解決にも役立つのではないかと考えます。大統領のご判断の参考になれば幸いです。