地球連邦国大統領 第四章 (対策の予想効果まとめ)P310

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果1)P301

 大統領、いろいろ問題に対する解決策を決めてきましたね。なんかとても良い国ができそうな感じがしてワクワクします。それでは、これまで大統領が決めてきた事項について、さらに細かな対応策を決めながら、これまでの問題に対してどのような効果を上げるのかを各問題に照らして効果を予想していきましょう。

【飢餓について】

 「基本的な人権」、「最低限な生活」が保証されることですべての国民から飢餓がなくなると考えます。しかし、保証したといっているだけでは何も変わりません。すべての国民に必要な物資がいきわたるだけのより細やかなシステムづくりが必要となるでしょう。まずは先進国のフードロス問題(食べられる食品が大量に廃棄されている問題)を解決しなくてはなりません。そのためには、利益追求型の今の経済の仕組みを変えることも重要となってくるでしょう。考え方の基本は飢餓をなくすためには何が役にたって何が役にたたないかを考えることが問題解決の糸口になるでしょう。飢餓を解決するのに利益至上主義の経済は役に立ちません。これまでの世の中を見てみると明らかでしょう。こう言うと、じゃあ食品関連団体は利益を上げずボランティアでやれというのかとの反論が聞こえてきそうですが、そうではありません。両者が両立する方法を一緒に考えていきましょうと言っているのです。では何が役に立つのでしょうか。フードロスが起こっているということは、不必要な食品原料が先進国に集まる仕組みになっているのです。これを途上国にも分散させる仕組みをつくることが飢餓問題の解決に役に立ちます。先進国の大都市に食料が集中せずに途上国の飢餓地域に食料を運ぶにはまず道路などのインフラの整備は言うまでもなく、情報をやり取りできる通信網やその通信網に必要な電力も必要でしょう。水の問題はこのインフラの整備に付随して解決していくようにいたしましょう。しかし、これらのインフラを整備しただけでは食料は飢餓地域に渡らないでしょう。最大の問題は飢餓地域に食料を持って行っても誰も儲からないからしないということです。これが現実です。地球連邦国の目標は「すべての人が平和で豊かな生活を営むことができる世界を創ること」です。このままでよいはずがありません。どうにかして変えなければなりません。まずは税金と法案をつくって大都市に行く予定の、大都市では消費しきれず余る食材(未加工の食品も)、を途上国に運ぶことを提案いたします。その際には本当に、食材を必要としている人に食材が届いているか、大都市に必要以上の食材が流れていないかを確認するための方法として、後で新経済システムの章で提案する、経済の「見える化」が役に立つと思います。でも、ずっと国の税金を使って食材を飢餓地域に支援しつづけていてはよくありません。次に必要となる支援は飢餓地域において自分たちで食料を調達できるように植物の栽培などの技術支援を行うことが必要になるでしょう。最終的には国の支援なしで生活できることを目指します。多くの飢餓地域で食材が生産できるようになれば、今よりも飢餓問題は大幅に縮小されるのではないでしょうか。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果2)P302

【紛争について】

 文明が誕生して以来、いろいろな努力がなされてきましたが、世界の各地で紛争がなくなることはありませんでした。なぜ、紛争は起こるのでしょうか。原因はさまざまですが、紛争の共通点はなんでしょうか。1つは不安が挙げられます。相手が自分たちを滅ぼしに来る、相手に土地や資源を奪われる、相手の考えを押し付けられるなどの不安が紛争地域にはあるのではないでしょうか。各国の軍隊は解散し、地球連邦国の平和維持軍を創りましたので、ある国が暴力により相手国を屈服させようとする行為はできなくなります。もし、そのような事態が発生した場合には平和維持軍が出動して問題を解決することになるでしょう。土地や資源は地球連邦国の管理下にありますので、各国や個人の所有ではなくなります。奪う必要はなく、奪われるものもありません。土地や資源はみんなのものです。一部の権力者が自分の考えを押し付けることは独裁国家的な考えですが、地球連邦国は国民主権ですので、選挙によって代表は選ばれますし、国民の意見が広く取り入れられる仕組みにしましたので、多くの紛争の原因はなくなり、紛争が減少するのではないでしょうか。

【経済格差と貧困について】

 経済格差と貧困については経済と密接に関係するので新経済システムの章で解決策について詳しく説明するのでここでは省略いたします。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果3)P303

【環境破壊について】

 産業革命以降さまざまな環境破壊が繰り返されてきました。日本でも1970年代は公害による大気汚染や川の汚染がひどい状態でした。日本各地で公害による健康被害が発生して、多くの方が苦しまなければならない状態でした。都会の川にはゴミが堆積し、川の水はドス黒く悪臭が立ち込めており、とても生物が生きていける環境ではありませんでした。大都市近辺の海はヘドロが堆積して、こちらも生物が生息するには厳しい環境でした。大気も工場や自動車からの排気ガスで光化学スモッグが発生し、光化学スモッグの濃度が高い時には学校の校庭での遊びも禁止されていました。しかし、いまでは光化学スモッグ注意報やゴミで埋め尽くされた川は見ることもなくなりました。なぜ、このような公害はなくなったのでしょうか。なくなった原因は健康被害がでるほどの公害は国民のためにはならないので、国が排出物の規制をつくったことが大きく貢献していると考えます。有害物質をそのまま、大気中や川に排出することを規制する法律をつくりました。そのため、企業は有害物質を無害なものまで処理してからでないと大気や川に排出することができなくなりました。企業としては有害物質の処理にはお金がかかりますから本来はやりたくないはずですが、法律ができたため、やらざるを得なくなったのです。

 その後、時代は流れ企業の考え方もかわってきていました。今ではこの法律がなくなったらすぐにでも、有害物質を放出してやろうと思っている企業は少ないのではないでしょうか。企業は自主的に規制をしているように思えます。この変化はなぜでしょう。我々国民の意識の変化ではないでしょうか。たとえ良いものを作っていても環境に有害物質を排出している企業の製品は買いたくないと思う人が増えているのではないでしょうか。それを企業も認識しているのです。製品を売って高い利益をあげるだけなら、有害物質の処理をせずそのまま自然界の放出する方が、コストがかからず利益が得られるのはわかっていますが、それでは将来、企業の存続が危ぶまれること知っているからやらないのです。この考えは「すべては一体」という考えに近づいているといえるのではないでしょうか。有害物質を自然界に放出すればまわりまわって自分に返ってくることがわかっているのです。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果4)P304

【環境破壊について】つづき

 近年は100年前まではなかった新たな問題が発生しています。中でもここ数年特に世の中で取り上げられている問題は地球温暖化と海洋プラスチックの問題です。これらの問題は1970年代の公害に比べ問題だと認識しづらいことが問題を大きくしている原因であると思われます。これらの問題解決の第一歩は、これらの問題があるのだということを認識することです。本心かどうかは別として、以前、地球温暖化は気のせいだと発言した大国のリーダーもいたようです。海洋プラスチック問題は海にいないとわかりませんし、地球温暖化は夏と冬の温度の差が大きく、地球の平均気温が1℃変わってもよくわからないかもしれません。わかりづらいのは確かですが、よく観察してみればわかることだと思います。ある台風のあと散歩で浜辺に行った際に、おびただしい量のプラスチック製品が打ち上げられているのを目撃したことがあります。普段の海はあまりゴミがないように見えますが、台風などで海から陸に強い風が吹くと近海にあったゴミが浜に向かって集まってくるのでしょう。軽いプラスチックは水に浮き浜に打ち寄せられ風で陸地に上がり木、建物、フェンス、防波堤に大量に引っかかっていました。今の世の中はインターネットが普及しています。調べようと思えば誰でも簡単に調べることができる時代になりました。

 地球温暖化の問題は地球の大気中に大量の二酸化炭素が排出し続けていることが問題です。産業革命以前は大気中の二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスが取れていて大気中の二酸化炭素濃度は一定でした。しかし、産業革命以降は二酸化炭素の排出量が大幅に増えたため大気中の二酸化炭素の濃度が急上昇しています。この二酸化炭素は大気中の熱を宇宙に放出するのを妨げ大気中に熱を維持する効果がある、温室効果ガスであるといわれています。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果5)P305

【環境破壊について】つづき

 ではなぜ、この二酸化炭素の濃度が急上昇したのでしょうか。原因は石油、石炭、天然ガスを人類が使用したことが原因であるといわれています。石油、石炭、天然ガスはもともと地球の地下に眠っていた物質でありますから、大気中の二酸化炭素の濃度に何も影響しませんでした。産業革命が起こり。石油、石炭、天然ガスを利用すると、利用したぶん二酸化炭素が生成されます。これまで地中にあったものが利用されて二酸化炭素に形を変え大気中に蓄積しているのです。ですので、石油、石炭、天然ガスを使用し続けると大気中に二酸化炭素が蓄積され続けます。それを食い止めようとする世界的な動きがパリ協定です。パリ協定の目的は1997年に定まった「京都議定書」の後を継ぎ、国際社会全体で温暖化対策を進めていくためので、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、1.5℃に抑える努力をすることです。

 ふたたび、海洋プラスチック問題に目を向けてみますと、プラスチックは手軽で耐久性があり安価に生産できるため、プラスチックの多くは使い捨てされています。リサイクルされているとは言え、一部が自然環境に流出し、最終的に海に流れ着いて分解されることなく、徐々に細かくなりながら海に蓄積し続けることです。日本では84%がリサイクルされているといいますが、そのうちの57.5%はサーマルリサイクルすなわち焼却処分です。この焼却処分は二酸化炭素を大気中に排出することとなり、地球温暖化問題の原因となっています。一見、違う問題のように見えますが温暖化問題と海洋プラスチック問題は繋がっている部分もあるのです。

この2つの問題の解決策は石油、石炭、天然ガスの使用量を減らすことです。今の生活に慣れてしまっている我々にとって大きな問題といえます。石油および石油から生産されるプラスチック製品、石炭、天然ガスの使用量削減となると、経済と密接な関係となりますので次の新経済システムの章で経済とあわせて解決策を考えていきましょう。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果6)P306

【犯罪について】

窃盗、強盗、傷害、暴行、脅迫など

 窃盗、強盗、傷害、暴行、脅迫などの犯罪について日本では戦後増え続けてきた件数は平成15年以降減少傾向にあります。これはよい傾向だと思います。しかし、減っているとはいえまだこれらの犯罪は起こっています。それではなぜこれらの犯罪はなくならないのでしょうか。これらの犯罪は個人の欲望を満たすために行われることが多いような気がします。この場合の解決方法は何度も言いますが、すべては一体だと思えず個人はバラバラだと考えていることが根底にあると思います。身体の例えのように個人は一体だと考えられるとこのような犯罪は起こるはずがありません。すべては一体だと思えるようにどうすればよいのでしょうか。その方法の一つとして提案したい方法があります。その方法とは一人でも多くの人がすべては一体であるという考えを実践するという方法です。わたしは犯罪者ではないので、それを実践しても意味がないのではないか。犯罪者か、犯罪をしそうな人がやってこそ意味があるのではないかと思われるかもしれません。しかし、思い出してみてください。これは「すべては一体」だという考えからきています。つまり、わたしも、あたなも、犯罪者も、犯罪者でなくても、全人類は一体だと考えるということです。すなわち、あなたやわたしがそう考えれば、そう考える人たちが増えていき、そう考えた人たちは犯罪を犯す可能性が低くなるでしょう。その結果、犯罪発生数は減っていくのではないでしょうか。わたしの思い過ごしかもしれませんが、すでにこの考えは少しずつ実践されているのではないかと思います。平成15年以降犯罪発生件数が減っているのは、自分がやりたいことを達成するために他人に危害を加えることでは達成できないと心のどこかで感じているのではないでしょうか。その考えが少なくとも日本の中に広がってきているので犯罪の発生件数が減少しているように思えます。減っているのであればこのままで変える必要はないのではないかと思われるかもしれませんが、意識していないといつまた元の考えに戻るかもしれませんし、意識して行うことで効果を速めることができるのではないかと考えています。ですので、地球連邦国の理念であるすべては一体という考えはここでも人類の目的達成に役に立つと信じています。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果7)P307

性犯罪について

 性犯罪については窃盗、強盗、傷害、暴行、脅迫などの犯罪をする原因に加え性犯罪独自の要因が含まれているとわたしは考えます。性犯罪独自の要因とは「男女の性の性質」の理解不足ではないかと考えます。性犯罪を起こすのは圧倒的に男性が多いです。国が違っても男性が多いことには変わりありません。このことから文化の違いが原因ではないと思います。全世界共通の問題です。これまでも述べてきましたが問題を解決するためにはまず、観察が必要です。この問題の原因は何かを観察することが重要であると思います。問題をよく観察し、問題の原因にたどり着いたら、その問題を解決するための方法を考えるという流れです。その中でこの問題に対して何が役に立ち、何が役に立たないかを考えることが問題の解決につながります。わたしの観察では問題の原因は、われわれ人類が「男女の性の性質」を正確に理解できていないことだと考えます。これは男女共にいえると思います。

 その中でも、現代の社会のルールは「女性の性の性質」よりも「男性の性の性質」の方がよりかけ離れているものになっていることが問題ではないかと推測しています。このため、「男性の性の性質」を自然な形で表現してしまうと、社会のルールや常識から外れることが出てきてしまい、社会のルールや常識から外れそうになると自制して社会のルールに合わせる必要がでてきてしまうのではないでしょうか。多かれ少なかれ男性は「男性の性の性質」を自制しており、自制が効かなくなった男性が加害者になる性犯罪が起きてしまうのではないでしょうか。もちろん、犯罪にまで至らなくても男性の自制が効かず、女性に不快な思いをさせてしまっているケースは日常茶飯事です。全世界共通の問題ですので、世界共通の文化や習慣が問題の根本原因であると考えます。

 その問題の解決を難しくしている原因の1つは性に対するタブーです。全世界で性に関しての話題はタブーとされています。ろくに性教育行もわれません。一般的に性の話をすることすら避けられます。小さい子供が自分の性器と異性の性器の構造が違うことにきづき、それを大人や周りの人に話すと大人は血相を変えて話を中断させたり、話題を変えたりします。子供は自分と違うものを持つ人がいるという事に、ごく自然に興味を持っただけなのです。よく考えてみるとおかしな話だと思いませんか。性に関する話はしない。それが世界の常識となっています。この常識が自然の摂理からズレていて、この常識をもとに法律が制定されているのではないでしょうか。もちろんセクシャルハラスメントの問題もあります。性の話をすることで不快に思う方も大勢いることも承知しています。ですので、いろいろな問題も含めてちゃんと男女で話し合う必要があるのではないでしょうか。もともと性行為はとても魅力的でありますが、そのことについて話をすることも、子供に性に関することを教えること、それどころか近づくことすら避ける傾向にあります。その結果、間違った知識、情報、偏見がまかり通っていると思われます。このため性欲を持っていると間違っている、表現してはいけないという考えが全世界で広がっています。あまりにもその考え方が広がっているために、そこに疑問を持つ人はとても少ないように思われます。性犯罪が起きれば起きた人に対して、そのような行動を起こすのは異常だ、欲望を出してはいけない、我慢が足りない、と責めてすべての責任を性犯罪者に負わせます(もちろん性犯罪はよくないことなのでそうするのですが)。

 この考えのままではこれまで同様、この問題の解決には役に立たなかったことはわかるでしょう。ではどの方法が問題解決の役に立つのでしょうか。この問題の解決策は「男女性の性の性質」に沿った社会のルールに変えていくことが必要だと思います。もし、男女ともに性の素晴らしい体験を経験したいとお互いに思っているのに、このタブーの考えがあるから、実現できないのであればとても不幸なことです。この解決策を実行するためには、まず、「男女の性の性質」の違いをすべて理解することから始める必要があると考えます。問題を起こしているのは男性なので加害者である男性が考えればよいということでは女性の被害者はなくならないでしょう。すべては一体です。みんなで現状を観察し、観察した事柄について話し合い男性女性ともに納得できる解決策を模索する必要があると考えます。

 この問題の解決にはこれまでの常識を根本的に変える大変革が予想されます。この問題は大統領の手腕が試される難問です。私の提言を踏まえて総合的に判断されてはいかがでしょう。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果8)P308

児童虐待について

 この犯罪は近年顕著に増加していることが特徴です。2021年7月10日現在、厚生労働省のHP(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/02.html)では、児童虐待の原因は「身体的、精神的、社会的、経済的とうの要因が複雑に絡み合って起こると考えられている。」と記載されています。「根強い母親役割の強要や経済不況等の世相の影響、あるいは少子化、核家族化の影響からくる未経験や未熟さ、さらに世代間伝承等その背景は多岐にわたる。」と加えています。これらのことは、なぜ起こるのでしょう。人口が都市に流入し都市型の生活様式が増えてきたことが原因の1つにあるのではないでしょうか。最近はこの傾向が特に顕著になり東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市に人口が集中してきています。そうすると、都市では周りに知り合いはおらず、親は遠くの田舎におり、仕事もある中、育児は自分たちで行わなければなりません。都会では近所の付き合いは希薄でマンションでは隣にだれが住んでいるのか知らない方も多いのではないでしょうか。このような状態が育児で悩んだ際に相談する人がいない方が多いのではないかと推測します。2人目となるとさらに悩みは増えていきます。このような、どうしようもない状況に追い込まれたときに児童虐待に陥ってしまう場合もあるでしょう。また、自分の考える理想どおりに育てなければならないと強く思い、思い通りにいかないと虐待してしまうこともあるかもしれません。その他にも、十代で子供を授かり、まだ、保護者が子育てできるほど成長していないケースもあるでしょう。現代社会特有の大きな問題だと考えます。

 この問題の解決策としては、子育てに苦戦している保護者に代わり、子育ての支援または代替して子育てを行うシステムが必要ではないでしょうか。今よりはるかに多くの子供たちを収容できるシステムの構築が必要になると考えます。育児にいき詰まったり、育児が困難だと感じたらすぐに救いの手を差しのべられ、育児に疲れた保護者から子供を預かり収容できる施設です。現在の児童相談所は全国に210カ所しかなく、2018年4月1日現在の児童福祉司の数は3252人です。一方、虐待の相談は12万件をこえるそうです。これだけの数ではすべてに対応すること難しいでしょう。この相談件数は児童虐待近くにまで事態が悪化してしまったケースについてです。児童虐待にまで発展しなくても、一人で悩みを抱えて途方に暮れている保護者の数はこの何倍、何十倍にもなるのではないでしょうか。一人で悩みを抱えている状態のときに救いの手を差しのべられるシステムが必要だと考えます。保育福祉司になるには大学で勉強して福祉施設で1年以上の経験を積むなど資格を得るのに時間がかかります。児童虐待まで進んでしまったケースには児童福祉司ぐらいの知識と経験が必要となりますが、一人で悩みを抱えている人には経験者のアドバイスや、場合によっては子供を一時的に引き取って育てるような早い段階でのケアができるシステムが必要ではないでしょうか。全国規模で考えると何万人もスタッフが必要になると思いますが、人材は現役をリタイアして体力に余力のある人や育児を終えて時間に余裕ができた女性を活用してはどうでしょう。子育ての経験も豊富で子育てのアドバイスもでき、施設で一時預かった子供の世話も簡単にこなせるのではないでしょうか。児童虐待まで発展するはるか前の時点で、少しでも育児に疲れたら一時的に子供を施設で預かれる仕組みを作り、児童虐待の事実がなければ、預かった子供に親はいつでも会うことができ、気持ちが落ち着けばいつでも引き取ることも可能なシステムにすれば安心でしょう。しかし、大都市に若い世代が集中しているため、このような施設を建てる場所や働く人の確保も大都市では難しくなることが問題となるでしょう。最近の新型コロナウイルス感染症の対策として、リモートワークなどの活用が進み地方に人が分散されれば、児童虐待の問題解決にも役立つのではないかと考えます。大統領のご判断の参考になれば幸いです。

◆地球連邦国大統領(対策の予想効果9)P309

【対策の予想効果のまとめ】

 さて、これまで大統領といろいろな政策や対応策を考え、実行に移すことになりましたが、どのような感想を持たれましたでしょうか。これまでにない方法での対応ですが、地球連邦国の目標に一歩ずつ近づいているように思われます。もし、うまくいかないことがあった場合には修正して対応する必要があります。その際にはここで考えたように、問題をよく観察し問題に対して何が役に立って、何が役に立たないかをよく考えて解決策を講じることで対応いたしましょう。その際にはこれまでの常識にとらわれないようした方がよいと考えます。 次は経済について考えていくことにいたしましょう。経済も問題が山積しています。もう今までのやり方は通用しなくなってきています。それを思い知らされたのは新型コロナウイルスのパンデミックです。この新型コロナウイルスのパンデミックにより、これまでの常識が覆る事態が多く発生しています。世の中の価値観を含めて大きな、方向転換が必要ではないでしょうか。これまでの大量生産、大量消費の資本主義はいきづまりを見せています。この資本主義は第二章で示したようにものすごい貧富の格差を生みました。また、ここにきて新型コロナウイルスの影響により、飲食業、観光業は大きなダメージを受けています。一方、巨大IT企業はこのコロナ渦においても成長を続けています。このままではますます貧富の格差は増すばかりです。何か根本的な構造改革を行う時期に来ています。これまでは、経済格差は自分に関係ないと思っていた方もおおいのではないでしょうか。しかし、今は現実のこととして痛感しておられる方も多くなっていると思われます。また、すぐ足元まで危機が迫っている方もいるでしょう。そういう人たちが少しでも安心して生活できるような経済の仕組みを作っていくことが重要ではないでしょうか。このような時だからこそこの危機を新しい世界をつくるチャンスととらえて大胆な新経済システムを構築していきましょう。