地球連邦国大統領 第五章 (新経済システムまとめ)P408

◆地球連邦国大統領(新経済システム1)P401

【経済格差と貧困について】

経済の現在の問題はなんでしょうか。第二章の現実問題でも述べましたが、貧困問題に代表される経済格差が一番の問題だと考えます。それでは、どうやって経済格差をなくしていけばよいのでしょうか。世界の資産家上位26人が世界の下位半分の資産と同額の資産を保有しているという現実があります。もちろんこの現実は資産家の方々もよく理解されており、問題だと考えられているようです。ですので、資産家のほとんどの方は多額の寄付を行っておられます。この寄付によって多くの人が救われていることは事実でしょう。それでも、経済格差は縮まらないのです。なぜでしょうか。すべての人にお金がいきわたる仕組みになっていないことが原因ではないかと推測します。貧しい地域で生活している方々は収入を得る方法が極端に少ないのではないでしょうか。植物が十分に育つ土地がない、収入が低いため子供も労働力として仕事しなければならず教育が受けられない、十分な教育を受ける学校などがない、紛争が起こっているため仕事ができない、など、いろいろな問題があると推測します。これらの問題は基本方針の1つ目「ひとが生きていくための基本的な権利を保証する」のうちの「最低限な生活」、「適切な教育」、「受けた教育を職場で生かす機会」を地球連邦国が保証することによって、解決できるのではないかと考えています。でも、保証するからには何らかの手立てが必要となるでしょう。最低限の生活を保障するにはその地域に安全な水を確保する必要がありますし、土地で作物が取れるように灌漑も必要になるかもしれません。また、適切な教育を受けるためには校舎が必要でしょうし、教えるための教師も必要となります。単に先進国から人が行って灌漑や校舎を建てることも必要かもしれませんが、もっと重要なことは現地の人が自分たちだけでやっていけるように指導することではないでしょうか。そのためにはどのような支援が必要かを考えることが重要だと思います。この方法は本当に困っている方の役にたつことは間違いないと思いますが、これだけではまだ、国民の格差は残ったままでしょう。格差を生み出す原因は貧困地域のインフラの整備だけではないと考えます。

◆地球連邦国大統領(新経済システム2)P402

【不正について】

次に問題となることは何でしょうか。途上国などで多く見られる賄賂などの不正ではないでしょうか。日本でも、昔はよく政治家が賄賂をもらって問題になっていました。しかし、最近は昔ほど政治家が賄賂をもらって事件に発展したことがほとんどなくなってきたように思います。日本はどのようにして政治家の賄賂事件を減らすことができたのでしょうか。最も大きな功績は政治資金の報告を義務化したことが大きな原因だと考えています。これにより政治家の資金の流れが明白になり、不正をしにくいシステムが構築されました。政治資金に限らず、この手法を経済全体に取り入れてはどうでしょう。すなわちすべての資金の流れを「見える化」するのです。この方法はいろいろなメリットを生み出します。最近問題となっているオレオレ詐欺などの詐欺ができなくなるでしょう。誰の資金がいつ誰に振り込まれたなどは一目瞭然になります。誰が誰のお金をいくら受け取ったということがすべて公開されますので、詐欺にあったと思ったら調べればすべてわかります。すべての国民が調べることができます。これでは詐欺はできないでしょう。この他にも、よく犯罪者などが資金洗浄を行うといわれていますが、犯罪に使ったお金もすべての全国民が調べることができるようになります。これにより、犯罪にお金を使えなくなるので犯罪件数も減るのではないでしょうか。また、脱税もできなくなります。すべての金の流れは全国民が監視できるようになるので誰が税金を払っていないか一目瞭然になります。この資金の流れの「見える化」で犯罪はかなり抑制できると考えます。また、特定の人や団体にお金が流れる仕組みがはっきりわかるので、問題があるのかないのかの検証をするのも楽になるでしょう。問題がなければそのままでいいでしょうし、問題があれば何が問題かを突き止めることは容易となり今よりはるかに問題解決がしやすくなるでしょう。

この「見える化」はお金の流れだけではありません。販売する商品やサービスにも用います。商品は販売価格を提示するのが当たり前ですが、その商品やサービスを販売するまでにかかった費用も提示するように義務化するのです。そうすれば、ぼったくりをしようとは思わなくなり、適切な売買価格を提示することになるでしょう。また、この商品を創るのにこれだけ費用がかかっているのだと消費者が理解できるため納得して購入することができるでしょう。

この「見える化」をすると自分が何にお金を使っているかがすべてわかってしまうというデメリットはありますが、これをはるかに上回るメリットがあるのではないでしょうか。大統領ご決断をお願いいたします。・・・承知いたしました。そのように進めます。

◆地球連邦国大統領(新経済システム3)P403

【環境問題について】

対策の予想効果の章でもこの環境問題を述べましたが、経済にも関係していますのでここでも環境問題について考えていきましょう。プラスチックは現代の生活には欠かせないとても便利な道具として全世界で使用されています。このプラスチックは人間が作り出したものであるために自然界で分解するにはかなりの年月が必要となります。自然の形に戻すには人間の力が必要となります。このプラスチックが人間の力が及ばない自然界に流出すると地球上に長期間残ることになります。作ったプラスチックはリサイクルに回されますが、リサイクルに回されずに不法投棄やポイ捨てなどで容易に自然界に流出しています。このままプラスチックを作り続けるとどうなるでしょうか。どんどん自然界にプラスチック蓄積していくことは容易に想像できます。このプラスチックの蓄積により様々な問題が浮き彫りになってきています。この解決策として紙や麻や絹のように天然物を原料に作られたものは自然界に流出しても比較的短時間で分解されます。天然物由来物質でプラスチックを製造することが必要となるでしょう。しかし、水道や下水の配管や建材など使用する用途によっては自然界で分解されては困るものも多いのです。すべて自然界で分解すればよいという事ではないのです。分解しないプラスチックは目的を終えた後には、焼却することになります。石油を原料にしたプラスチックは焼却すると大気中の二酸化炭素濃度をあげることになりますので、地球温暖化を食い止めるのが目的ですので使えません。石油を原料としたプラスチックの削減は世界の経済を根本的に変革することになるでしょう。大幅な削減は経済への影響が大きすぎてすぐにはできません。徐々にやるしかないのですが、石油由来プラスチックの代替を考えておく必要があります。まずは原料を石油以外の植物由来の原料に変える方法を考え出さなければなりません。植物は大気中の二酸化炭素を吸収して利用するため、植物由来の原料で作ったプラスチックを焼却しても大気中の二酸化炭素の量が増えることはありません。まずは大気中の二酸化炭素の量を増やさないことが重要だと考えます。現在の科学では産業革命前の二酸化炭素濃度に戻すことは不可能です。できることは、二酸化炭素の大気中の濃度の上昇を抑えることだけです。

◆地球連邦国大統領(新経済システム4)P404

【環境問題について】つづき

プラスチック以外にも削減しなければならないものがあります。石油、石炭、天然ガス由来のエネルギー(石化由来エネルギー)です。こちらも削減が必要です。これらのエネルギーの代替策も必要となります。この代替エネルギーはすでに何十年も前から取り組みが開始されています。ようやく最近は自動車に石油由来のエネルギーを使わない電気自動車が世の中に出てきました。また、水素をエネルギーとして利用した自動車も開発されています。しかし、電気を石化由来エネルギーで作っていては元も子もありませんが。この取り組みをさらに進めていく必要があると考えています。燃料として使われているエタノールのうち植物を原料としたものがあります。エタノールは自動車の燃料としては使えますが、航空機の燃料としては使えません。航空機の燃料としてエタノール以外の燃料を植物から作る必要があります。石油以外の原料で燃料を作るにはこれまで使用している燃料をまかなえる原料が地球上にないといわれています。すなわち石油を使わなければ同じ量の燃料を作る原料がないという事です。このことはこれまでと同じように燃料を使用することはできないことを意味しています。これまでよりも省エネの輸送機を作るか、新たな燃料の輸送機を作るか、輸送そのものを控えるかの選択に迫られることになるでしょう。

地球温暖化の問題だけを見れば、核エネルギーは二酸化炭素の排出はなく地球温暖化のスピードを抑えるのに有効な手段だと考えられます。しかし、福島やチェルノブイリの事故を見れば明らかですが、一度事故が起きれば地球環境に多大な影響が出るのは確実です。より安全なエネルギー獲得手段が必要ではないでしょうか。

◆地球連邦国大統領(新経済システム5)P405

【環境問題について】つづきその2

これからも石化由来物質(石油、石炭、天然ガス)を利用しつづければ必ず大気中の二酸化炭素濃度は上昇するでしょう。これまでに提案した石化由来物質に代わるエネルギーまたはプラスチックの開発は重要ですが、現時点ですぐに新たなエネルギーやプラスチックにすべて変えることはできません。まだ、技術が開発できていない、原料となる物質が足りないとういところが現実です。ではどのようにして大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑えるのでしょうか。「石化由来物質の利用量を減らす」ことが有効な解決策ではないかと考えます。

その証拠に全世界的に新型コロナウイルスのパンデミックが起こった2020年は主要都市の移動制限により石化燃料の消費が抑えられ、また、物の生産も抑制されました。グローバルカーボンプロジェクトは世界の二酸化炭素(CO2)収支の最新の評価結果として、2020年の世界の化石燃料消費によるCO2排出量は、COVID-19パンデミックの影響により、前年比で約7%の減少となる見込みであると公表しています(http://www.nies.go.jp/whatsnew/20201211/20201211.html)。このように二酸化炭素濃度の上昇を抑えるには石化燃料に代表される石化由来物質の使用を抑えることが必要となります。ご存じのように、いまや石化由来物質は生活にとって必需品となっている中、どのように使用を抑制すればよいのでしょうか。考えられる解決策のひとつとして、現在の大量製造、大量消費の経済を変える必要があると考えます。多少の不便を受け入れ変化していくことが、必要となるのではないでしょうか。これまでどおりの生活から変化していかなくてはなりません。この変化は実際に不便だと感じる変化となるでしょう。しかし、しばらくすれば不便を感じなくなるのではないでしょうか。その例として日本では2020年7月1日よりレジ袋の有料化が始まりました。それ以前はスーパーマーケットなどでの買い物では、レジ袋を無料で提供いただけたので買ったものをレジ袋に入れて持って帰ればよかったのです。しかし、2020年7月以降レジ袋は有料となりマイバッグを持参しなければならなくなりました。最初は多少の混乱はあったのではないかと推測しますが、1年たった2021年7月ではすでにマイバッグ持参は当たり前のように定着しているように思われます。これまで大量に出回っていたレジ袋はほとんど姿を消すこととなりました。少しではありますが環境問題に貢献できているのではないでしょうか。

レジ袋のようになくても生活ができるものは他にもあると思います。どのようなものが削減できるか考えて、環境問題に影響を与えているものの削減をするよう規制をかけてはどうでしょう。健康を維持するのに役に立たないたばこに税金をかけ、たばこの使用量を減らしたように、環境問題に悪影響をもたらすものに対して大胆な規制を行ってはいかがでしょう。例えば石化エネルギーや石化由来原料を使っているプラスチックに対して税金をかけ、その税金を石化エネルギーではないクリーンエネルギーや植物由来原料プラスチックの開発の補助にあててはいかがでしょう。ご検討をお願いいたします。

◆地球連邦国大統領(新経済システム6)P406

【シェアのすすめ】

しかし、どうしてもゼロにできないものも多くあります。ゼロにできないものをどうやって削減していくかを考えなければなりません。これについてのよいヒントが航空機にあります。今は新型コロナウイルスの影響で飛行機に乗る機会は減っていると思いますが、空港で飛行機を乗る際に搭乗口で飛行機の出入りを見ていたことはないでしょうか。飛行機の出入りを見ていると空港に到着した飛行機は乗客を降ろした後、すぐに機内清掃、燃料補給、安全点検などを行い次のフライトの準備で大忙しです。次のフライトの準備ができればすぐに乗客をのせて離陸していってしまいます。航空機が休んでいる時間はほとんどありません。航空機ほど高価なものは稼働率を上げないと経営ができません。いかに効率的に航空機を使用するかにかかっています。この考え方を我々個人が使用する機器にも取り入れられれば生産量の削減に貢献できるのではないでしょうか。例えば車ですが、通勤に使わないのであれば、使用するのは休日の週2日間だけという人も多いのではないでしょうか。そういう場合には仕事の日には車は使っていません。平日は妻が買い物に使用しているという人もいるでしょうがそれでも航空機に比べて稼働率はかなり低いのではないでしょうか。車の稼働率を上げれば生産量削減につながるはずです。かといって必要ないのに車でドライブするということではありません。個人で1台所有するのではなく、1台の車を複数人でシェアすればよいのではないでしょうか。世の中にはレンタカー、カーシェアリング、外国ではウーバー・テクノロジーズが運営する配車アプリがあり、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築しています。このような仕組みを活用すれば車の稼働率は上がっていくのではないでしょうか。これは、車に限らず使用頻度の低い家電製品、例えば掃除機など、にも応用できるのではないでしょうか。このシェアの考えは自動車や家電にのみ使えるのではありません。例えば食事についても同じ考えができます。すでに欧米では料理をふるまいたい人と食べたい人をつなぐ、ソーシャルダイニングやその発展型の手作りの料理を自宅に持ち帰って楽しめるソーシャルテイクアウトなども広がりを見せているようです。このような変化を少しずつでも起こしていくことが環境問題に対し役に立つ取り組みだと考えます。

現代の経済では大量消費に支えられているので、壊れない製品は都合が悪いのです。ある程度の時間がたてば壊れてくれないと買い替えがおこらないので経済が回りません。この仕組みはやはりおかしくないでしょうか。環境問題を真剣に考えるのであれば壊れないものを作り長期間使い続けることが重要であると考えます。たとえ壊れても壊れた部品さえ交換すればまた使えるようにするべきです。「この製品は製造中止になったので修理はできません」という仕組みを変える必要があります。日本人はなかなか壊れない商品を創るのは得意ではないでしょうか。大量消費で経済が動いている仕組みから脱却し、今より大幅に小さい経済でもやっていける仕組みを作るべきだと考えますがいかがでしょうか。

◆地球連邦国大統領(新経済システム7)P407

【価値について】

この他にも問題があると考えます。給与に対しても、おかしなところはいろいろあります。先ほどの人の命に係わる仕事をしている医者を除く医療関係の方、地球の将来を担う子供の教育に携わる方、高齢者や身体障碍者の世話をする方、人類の食糧を生産している方、その他にもたくさんいますが、これらの方々は世の中にはいなくてはならない、人類にとって必須の仕事をされている方々です。その方々の給料はどうでしょう。失礼ながらあまり高給ではないのではないでしょうか。なぜ、人類にとって必須の仕事をしているのに給料が低いのでしょうか。これは我々が、何が人類にとって役に立ち、何が人類にとってあんまり役に立っていないかをよく理解できていないことが原因であるような気がしてなりません。人類にとって最も役に立っている仕事をしている方々に多くの給料を与えられるシステムづくりをすることが必要ではないでしょうか。

大量消費の世の中ではいかに多くの商品を買ってもらうかに焦点が集まっています。より、多くの人が目につくテレビやインターネットを通じて商品の宣伝を行い、消費者に買っていただくことで経済が成り立つ仕組みであります。ですので、それが人類の役に立つ、立たないにかかわらず、人々の興味があるものに対してお金が集まる仕組みになっています。この大量消費の経済が終われば、商品の過剰な宣伝は必要なくなり不必要なお金の流れは少なくなるはずです。そうなれば、必要なとろにお金を回すことができるようになるでしょう。

これまで、提案した経済システムはこのままでは絵にかいた餅です。このまま何もしなければ何の効果もありません。より多くの世の中の人々がより良い未来に向かいたいと思う事こそ、明るい未来に変えていくことができると思っています。大統領はいかがお考えでしょうか。